最後は行動力

 経験から学ぶ。よって経験とは修羅場である。すぐに理由をいう人がいる。これは成長の機会を逃すことを意味する。理屈をいっても、知識が豊富でも行動しなければ、行動を変えない限り結果は変わらない。どうして行動を変えないのか。免疫が働く。immunity to changeである。自分を守るための免疫が成長の機会を逃すことになる。

 先にも触れたEffectuationでは、アイデア×行動=機会という考え方がある。この場合の行動は特にBoundary Spannerを意味する。積極的に外に人脈を求め、偶然の出会いから賛同者を得ることである。単独でイノベーションは起こせない。

 亡くなられた野中郁次郎さんは三大疾病の一つに分析過剰そして計画過剰を指摘した。VUCA時代において、机の前に座ってネットで情報を調べ、実行されない細い糸のようなシナリオを作ることに、どれだけの意味があるのだろう。

 ゲーリーハメルが指摘したように、優秀さ(専門性)より情熱や好奇心が勝るのは、行動力の差である。

Effectuation(エフェクチュエーション)とコーゼーションのバランス

エフェクチュエーションは2009年に発表された。長年、新規事業開発やトランスフォーメーション・ゾーンを取り組む機会をいただいた経験から、「そうだよね」という実感がある。経営学はメタアナリシスであり、実証の蓄積から理論が生まれる。称賛すべき研究成果である。

エフェクチュエーションの実践プログラムを行っていると、必ずコーゼーションへの移行やバランスについて質問(葛藤や疑問)が出る。当然であるが正解はない。

先ずエフェクチュエーションに関してであるが、周辺の論文/理論をわかった上で取り組む必要がある。実験する勇気を失ってはいけないが、実験には規律がある。やみくもにBird in HandやBoundary Spannerをやればよいというものではないと思う。

コーゼーションとのバランスであるが、長年の経験から、ターゲット及びアクティビティ・システムがうかがえるようになったらコーゼーションではないかと思う。ただ、一方通行ではない。行ったり来たりする。これはエフェクチュエーションのサイクルと同じだ。

ダークパターンが生む4つのロス

OECDは2022年10月にOECD DIGITAL ECONOMY PAPERS を発表している。

 ダークパターンは、デフォルトバイアス(初期設定)やヒューリスティック(経験則などに基づいて簡潔に答えを導く出すこと)或いはフレーミング効果(表現の仕方で意思決定に影響を与える心理的現象)などを利用して私たち消費者に悪影響を与える類型(パターン)をいう。

ダークパターンまたはダークパターンが存在する環境において、4つのロスが生じると思われる。経済的ロス、知的ロス、社会的ロスそして精神的ロスである。

URL スラッジ情報及び偽・誤情報に対応する資する取組について~偽・誤情報、スラッジ対策は、情報提供する側で対応可能か検討する~

情報民主主義

情報民主主義において、政治的な意味合いはもたない。

インターネットは社会において無くてはならないインフラストラクチャーである。

インターネットを利用する市民の立場から、インターネット情報の在り方を健全化することを目的とする。

インターネット上に情報を発信する側、特に事業活動においては、提供側には本物性(authenticity)と社会的責任を求める必要がある。

本物性と社会的責任を示すには、共創社会の現代においては、第三者による客観的な監視または評価の類つまりガバナンスが求められる。

ガバナンスはオープンでシスティマティックであることが原則と考える。これには一定のコストを要するが、信頼できる社会を構築するための社会コストとして、全員が必要性を認識する必要がある。